羽子板を手作りする際に用いる型紙と簡単な制作のテクニック
長い歴史を持つ羽子板は、厄払いや魔除けのような使い方があり、現在でも一種の縁起物のように取り扱われている伝統工芸でもあります。この羽子板を室内の飾り用として手作りをすることを検討している方、ネット通販やフリマアプリで販売用として自作する方は、まずは型紙を慎重に作成することが必要です。
型紙に向いている紙は工作用の厚紙などが適していますが、羽子板の場合は左右対称になることから、最初はプリンター用紙など薄めの紙を用いて大体の図面を描いてみる工程も良い選択肢になります。鉛筆などで描いた用紙は羽子板の図面の中央から用紙を半分に折り曲げる方法で、左右対称の状態を作り出せます。その後は薄い用紙をハサミやカッターで切り抜きを行い、工作用の厚紙に合わせて厚紙側に鉛筆でなぞるだけで簡単に厚紙の型紙を作成することができます。
次に準備するものは厚みが1cm程度の木材の板が必要になり、厚みについては自由意志で決めることはできますが、厚過ぎるとカット作業で苦労してしまうので適度な厚みの板を購入する方法がベストです。板に対して羽子板の型紙を乗せて、これまでの作業と同じように墨入れを行います。墨入れは鉛筆でもボールペンでも代用できるますが、カット作業において濃い色ではない場合、消えてしまう可能性があるのでボールペンの方が使い勝手は良いアイテムになります。カット作業は手動か工具かに分けることができ、もしも電動工具で丸鋸やジグソーなどをお持ちの方は簡単にカットできます。
電動工具をお持ちではない方は、手動式の鋸でも十分に対応することはでき、厚みが1cm程度であれば時間も大きく掛かってしまうことはありません。次の工程ではカットを終えた羽子板のベースに対して、研磨を掛けることも完成度を高めるには大切な作業です。
材料が木材なので、ホームセンターで販売しているサンドペーパーの中で、180番、240番、400番、600番、800番などと複数の番手のサンドペーパーを購入し、番手の低い方から高い方へと順番に研磨を掛けることで木材の表面を綺麗に整えることができます。サンドペーパーの番手ですが、羽子板のベースに採用した木材のコンディションで大きく差は生じます。
元々がある程度の滑らかさがあれば、400番程度からスタートさせることでも問題はありません。後は表面だけではなく角部分や持ち手部分に対しては角を少し丸くするように研磨を掛けると万全です。綺麗にベースを整えることが出来た場合、次に行う方法は作り手の感性により自由に行えますが、事例をあげると黒色や赤色の水性塗料を使って全体に塗装をする方法があります。缶タイプの塗料を選んだ場合は、羽子板のサイズに合わせた幅の刷毛を使う方法と、均一に塗るためにローラーを使う方法も効果的です。更に綺麗に塗装をしたいと考える方は、缶タイプの塗料ではなくスプレー式の塗料を使った方が仕上がりは手塗りとは異なりムラを作らずに塗装を済ませられます。缶スプレーの利用においては1度で塗装を済ませるのではなく、最初は木材が薄く見える程度に塗り広げ、乾燥した時点で同じ程度で薄くスプレーを掛けて、3度目か4度目程度で最後には少し厚めに缶スプレーを吹き掛ける方法で美しい塗装の状態を作り出せます。
この時点で羽子板の手作りは終盤に入ることになり、正面には大きな文具店などで販売されている本物の和紙を探してみて、好みに合っている柄の和紙の購入と、同時に木工用の接着剤を購入することも必要です。羽子板のベースに対して木工用接着剤を薄く塗り広げ、ムラが出来ないように平らなヘラなどを用いて均一にした状態で、和紙を貼り付けます。この段階では和紙は型紙に合わせてカットをする方法ではなく、羽子板のベースよりも大きめにカットをして貼り付けを行う方法で作業は簡単に行えます。逆に型紙に合わせてカットをしてしまうと、位置決めが非常に難しい状態になるので、敢えて余り部分を作ることは作業性を考えても楽になります。接着剤が乾燥した時点で、羽子板を裏返しにして、作業用マットなどの上に乗せてカッターで和紙の余り部分をカットすると綺麗なコンディションを保てます。
この段階で完成品として扱うことはできますが、板に和紙を貼っただけではビジュアル的に物足りないと感じる方は、異なる色や柄、モチーフの描かれた和紙を別途購入し、貼り付けた和紙に対して飾りとしてレイアウトを考えて貼り付けを行う方法で見栄えを大きく変えることに成功します。デザインの面では人による感性の違いがあるものなので、自由自在に飾り立てる作業は意外と楽しく行えます。更に100均ショップなどで入手できる和風素材の飾り物など、アクセントを追加することで更に高級感を発揮させることに役立ちます。飾りを終えた段階で手作りの羽子板は完成となりますが、お部屋用の飾りとして手作りをするには、羽子板だけではなく土台も制作すると置き場所で困ってしまうことはありません。
土台の製作は2cm程度の木材を採用する方法があり、最適なサイズにカットをした後に研磨をしたり塗装を施した上で、羽子板の持ち手の先端部分に合わせて溝を掘る方法も効果的です。溝に先端部分を1センチ程度埋め込むことと、背面には支えとなる木材を固定するだけで、揺れにも動じない飾り物に仕上げることができます。各工程は難しいものではないので、作業系やDIYを行った経験が無いという方でも問題はありません。最初に作成する型紙を左右対称にするテクニックさえ守れば、自作品とは思えない程の仕上がりを実現することも十分に可能です。