コンパクトタイプの破魔弓
もともと破魔弓は男の子の健やかな成長を願い、破魔を射るための弓を正月に飾った縁起物です。古くは中国で弓矢を使った伝説があり、それが日本に伝わって天皇家では弓で的を射る儀式をするようになりました。弓矢で邪気を払って健康や豊作を願ったものでもあったのです。
武家の多かった江戸時代ころには「厄除け」「魔除け」の願いを込めて男の子の初正月に贈る習わしがあったようです。もともと武家社会の風習でしたが、のちに時代が下るに従い、庶民の間にも男の子の健やかな成長を願って飾るものとして広がりました。
合戦のない江戸時代に入り、実践の武器としての弓矢から「流鏑馬」や「鏑矢」など形式的なものとして継承されてゆきます。もともと「弓の弦をはじく音を鬼が嫌う」といういわれがあり、破魔弓とセットになった矢が4本セットになったものが多いのは「天地四方に邪気を払う」ことをかけてセットになっているようです。
宮中行事に出産や産湯を使う際に弓の弦をかき鳴らした儀式があり、皇室ではお子様の誕生7日目に現在でも「読書.鳴弦の儀」が行われています。邪気を払う男の子の縁起物として、端午の節句や五月人形とも一緒に飾ってもよいです。お子様の成長を願うギフトの他、住宅を新築した際の棟上げ式に飾る場合のあるようです。
初詣の縁起物として神社などで厄払いを願う破魔矢をよく見かけると思います。破魔矢は一年間鬼門の方向に飾ったあとの翌年、神社にお返しします。鬼門は毎年変わるのでその年の方向に飾ります。破魔弓の場合は一年ごとに買い替える風習はありませんので、気に入ったものを購入したり、贈ったりすればよいと思います。
大きさはさまざまありますが、現在の住宅事情に合わせてコンパクトなものも多数あります。ガラスケースやアクリルケース、クリスタルのケース、ヒノキのケースに入った置き型タイプからコンパクトな壁掛けタイプや額のようなタイプもあります。
飾りたいけどキャビネットケースがない、すでにいっぱいでもう入らない、という場合や、玄関などにちょっと飾りたい場合は、壁掛けや額かけタイプが良いでしょう。コンパクトである分、価格が求めやすいものが多く、また人気があります。
実際、お店で選ぶとより大きなものの方を「一生ものだから」「縁起物だから」「どうせ買うなら良いものを」など大きく立派な破魔弓を勧られるかもしれませんが、どこに飾るかなど想定し、サイズ感などはあらかじめ計測しておいて、ある程度目星をつけておくとよいでしょう。もちろん値段設定も大事です。コンパクトだからといって簡素なつくりでというわけではなく、流行りのインスタ映えするつくりのきれいなものも多数あります。そうしたものでも、縁起物に効果の差異があるわけではありません。
ギフトとして贈る場合はお嫁さんの父親から贈る、などの一定の風習があるところもあるようですが、何か宗教的な縛りがあるものではありませんので、現代ではあまりこだわらなくて良いと思います。
値段設定も、素材によって大きく上下します。破魔矢の羽など染色した鶏の羽を使ったものから、雉、梟など野生動物の希少素材を使用したものもあり、値段に幅があるのは素材の違いや大きさなどによるものです。
大きいものでなければ、効果がなくていけないとか、希少なものや高級なものでなければ邪気が払えない、などということは全くありませんので、それぞれのご家庭の事情によって、お好きなもの、合うものをお求めになるのが良いと思います。
男の子のお子様が複数いらっしゃるご家庭は、一人一つという意見もありますし、特にそうした考えや風習を否定しようとは思いません。ただしスペース的な問題などで、特に無理して複数購入して飾る必要はないように思います。もちろん、欲しいと思うならば一人ひとつづつ飾ってもよいです。
また、スピリチュアルな効果などを狙った変に高額な商品は、特にお勧めいたしません。また、購入しなかったからと言って特に不幸が訪れるわけでもありませんので、そうした意見はあまり耳傾けなくてもよいように思います。
破魔弓を購入する場合は、人形専門店で取り扱いがあります。ひな人形や五月人形を扱っているようなお店で様々な商品を扱っています。
コンパクトサイズのものは1万円代から2万円代くらいのものが多く取り扱われています。グレートの高い高級な大きなものは3万円から10万円くらいするものなど、予算やスペースのサイズによってさまざまなものがあります。
マンションなどでお正月にちょっと飾りたい、というものもたくさんありますので、その中から選ばれると良いでしょう。値段が手ごろで見栄えのするものは、売り切れてりすることもありますが、焦って購入するものでもありませんので気に入ったものを探しましょう。広いご家庭で大きなものをせっかくのお正月だから飾りたい、という人はグレードの良いものを選んで飾ればよいと思います。
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